Simcenter Micred hardware

電子部品やICパッケージは、チップからダイアタッチ、ベース、TIM (サーマル・インターフェース・マテリアル)、コールドプレート、周囲環境まで、さまざまな要素で構成されています。これらの各要素は、製造で欠陥が生じたり、エレクトロニクスの動作寿命中に劣化や損傷が発生する可能性があります。欠陥によってデバイスが故障すると、保証コストが発生したり、顧客の信用を失うことになります。

Simcenter Micred T3STERを使用して、これらの欠陥、損傷箇所、弱点を調査できます。さらに、Simcenter Micred T3STERを使えば、ジャンクションから雰囲気までの熱流路の各要素に対応する、熱抵抗と静電容量のステップを特定して視覚化できます。これにより、ダイアタッチの材質や厚さを変更するなど、弱点を見つけて設計を改善することができます。また、熱経路の劣化や特定の部品の熱抵抗の変化など、潜在的な熱問題を特定することもできます。
Simcenter Micred T3STERにより、内部構造と熱挙動の正確な「フィンガープリント」を取得することができます。これは、新しい設計や材料を使用する場合に特に有用です。

熱シミュレーション・モデルだけでは、ジャンクション温度とRthJC、RthJP、RthJAの正確な値を得ることは困難です。Simcenter Micred T3STERは、JEDEC 51規格に準拠した電気試験手法を採用しています。赤外線または熱電対ベースの試験手法は、設置が不正確または困難になる場合があり、また表面温度のみを測定しますが、Simcenter Micred T3STERは、1/100度以内の高い精度を実現し、内部構造およびジャンクションから雰囲気までの熱流路に関する完全な知見を提供します。精度以外にも、Simcenter Micred T3STERには試験が1回で済むというメリットがあります。すばやく簡単で再現性のある設定手法により、エレクトロニクスの試験プロセスが加速します。

エレクトロニクスの予測耐用期間を実験的に検証するために、メーカーはアクティブ・パワー・サイクル試験を実施しています。パワー・エレクトロニクスでは、短時間にスイッチングや温度過渡が頻発するため、故障や信頼性の問題が発生する傾向があります。

従来の手法では、部品が故障するまで試験を繰り返してからラボに運び、目視やX線技術などで故障の原因と箇所を調査します。ところが、こうした手法は破壊的、または不正確であり、画像の解釈が困難です。さらに、故障メカニズムの原因と結果を分離して、それらが互いにどのように相互作用するのかを理解することはできません。

Simcenter Micred Power Testerのハードウェアとソフトウェアは、アクティブ・パワー・サイクルを熱的および電気的劣化のモニタリングと組み合わせています。このプロセスは完全に自動化されているため、ラボを行き来する必要はありません。損傷メカニズム (剥離、切断など) を明確に分離して、再設計が必要な弱点 (ダイアタッチ、はんだ接合部など) を持つインターフェースを特定することができます。また、設計の予測耐用期間を維持しながら、特定の領域をより詳細に設計し、材料費を節約することもできます。

エレクトロニクスの大量生産では、生産工程を終了した製品が要件を満たしていることを確認する必要があります。ハイスループットの自動熱試験やEoL試験 (完成品性能試験) により、顧客よりも前に生産上の欠陥を特定し、欠陥がほぼゼロパーセントの生産品質を確保することができます。

Simcenter Micred Quality Testerは、担当者が操作するプッシュボタン式テスター、ロボットによる自動パッチ試験、生産ラインに統合された完全自動式EoL試験など、ニーズに合わせた高い柔軟性とカスタマイズ・オプションを提供します。EoL試験では、組立エラーを検出し、生産パラメーターや材料の変更を警告するため、チームは生産の続行または中止を判断したり、生産されたサンプルを品質範囲または階級 (ビン) に分類することができます。生産率を高めるには、高速で完全に自動化されたEoL試験を生産ラインに統合する必要があります。

Simcenter Micred Quality Testerのハードウェアとソフトウェアは、生産されたすべてのアイテムを生産ラインからピックアンドプレースし、短い電力パルスを印加してジャンクションからパッケージケースまでの熱抵抗を検証し、各サンプルを事前定義された品質階級に分類します。Simcenter Micred Quality Testerは、既存の生産ラインに統合できます。また、新製品導入 (NPI) で、プロトタイプと大量生産フェーズの間に製造パラメーターを定義して最適化するのにも役立ちます。

パワー半導体パッケージ・メーカーはSimcenter Micred Quality Testerを使用して、品質保証のプラクティスを改善し、基本的な品質から一貫した品質へと向上させることができます。Simcenter Micred Quality Testerソフトウェアは、SECS/GEM、OPC UA、Modbusなど、さまざまな通信プロトコルに対応するようにカスタマイズできます。

熱シミュレーション・モデルを使用すると、プロトタイプを作成することなく、多くの設計代替案を迅速に評価できますが、このモデルが役立つのは、シミュレーション結果から実世界での状態を正確に予測できる場合に限られます。熱測定データに基づいて熱モデルの精度を高めることで、熱シミュレーション結果の精度が向上します。

Simcenterには、エレクトロニクスの熱モデルを簡単に関連付けるための熱試験ツールとシミュレーション・ツールが付属しています。Simcenter FLOEFD™ ソフトウェアやSimcenter Flotherm™ ソフトウェアなどのツールを使用して、Simcenter Micredで測定したデータに基づいて自動キャリブレーション手順を実行することができます。Simcenterのツールを独自に組み合わせて、電子部品やパッケージの最適な設計を正確かつ効率的に特定することができます。